ダイエットをしている人だけでなく健康志向の人が増えている現在、コンビニやスーパーでは、”カロリーゼロ”や”ノンカロリー”と表示された食品を見かけることが多くなりました。
“カロリーゼロ”や”ノンカロリー”と表示された食品は、カロリーが低くて甘みがあるため、食へのストレスを軽減しながら美味しく食べる・飲めることでできると人気です。
しかし、”カロリーゼロ”や”ノンカロリー”と表示された食品は、実際には0kcalとは限りません。
また、これらの食品に使用されている人工甘味料(合成甘味料)は、ほとんどカロリーが含まれていないにも関わらず太る原因になる、そして健康への悪影響もあると指摘する専門家もいます。
そこで今回は、人工甘味料の特徴と、太ると言われる理由について詳しくご紹介します。
栄養表示基準でわかる”カロリーゼロ”の理由
飲料やお菓子に表記されている”カロリーゼロ”。これを見ると0kcalと思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、カロリーゼロは0kcalではありません。これには、厚生労働省の健康増進法が定める栄養表示基準(食品表示基準)に理由があります。
栄養表示基準(食品表示基準)では、100mlあたり5kcal未満である場合”カロリーゼロ”または”ノンカロリー”と表記しても良いとしています。
つまり、カロリーゼロの清涼飲料水を500ml飲んだ場合、16kcal(100mlあたり4kcal)を摂取している可能性があります。
ちなみに、100gあたり糖質0.5未満の場合も”糖質ゼロ”と表記できるため、糖質を気にしている人は、注意が必要です。
カロリーゼロ食品の多くは人工甘味料を使用
“カロリーゼロ”なのに甘みがあるため、甘いもの好きなダイエッターに人気のカロリーゼロ食品。
でも、不思議に思ったことはありませんか?カロリーがほとんど含まれていないのに甘みを感じること。
それは、少量でも砂糖よりも甘さのある人工甘味料(合成甘味料)を使用しているためです。
日本では主に、以下の人工甘味料が使用されています。
- アスパルテーム
- アセスルファムK(アセスルファムカリウム)
- スクラロース
- サッカリン
アスパルテーム
アミノ酸系の甘味料。砂糖に似た甘みを持っていることが特徴です。1gあたり4kcalで砂糖と同等のカロリーを持っています。
しかし、その甘味度は砂糖の約200倍で少量の利用で済むのでカロリーを抑えることが可能。そのため、カロリーゼロ系の飲料やサワー系のお酒に使用されています。
また、虫歯になりにくいという特徴もあります。
アセスルファムK(アセスルファムカリウム)
酢酸由来の甘味料。1gあたり0kcal。甘味度は砂糖の約200倍。薄めることで甘味度が増すという特徴があります。
アスパルテームと一緒に使用することで、砂糖の甘味に近づくため、併用されることが多いです。
その他、虫歯の原因にならない、血糖値の上昇やインスリンの分泌にも影響しないこと特徴もあります。
スクラロース
砂糖由来の甘味料。1gあたり0kcal。甘味度は砂糖の約600倍。熱・酸に強い特徴があるため、焼き菓子・ケーキ・クッキーに使用されることが多いです。
その他、虫歯の原因にならないことも特徴です。
サッカリンナトリウム
水に溶けにくいサッカリンを、水に溶けやすくしたもの。一般的には、サッカリンナトリウムをサッカリンと略して呼ばれています。0kcalで砂糖の約300〜500倍の甘味度を持ちます。
現在の日本では、大量摂取を避けるために使用基準が設けられている甘味料です。
例)
- 清涼飲料水:1kgあたり0.3g
- アイスクリーム類:1kgあたり0.2g
- 漬物:1kgあたり2.0g
カロリーゼロ人工甘味料は太る?太らない?
人工甘味料は、熱量(カロリー)とならない、少ない使用量で済むため、摂取カロリーを抑えられます。
また、血糖値の上昇やインスリンの分泌に影響がないため、人工甘味料が直接関係はないと考えられています。
しかし、「人工甘味料は太る」という声もあります。では、人工甘味料は太る原因になるのでしょうか?
人工甘味料は太りやすいという研究結果
人工甘味料は、自然の砂糖に比べて太りやすいという研究結果があります。
これは、アメリカのテキサス大学サンアントニオ健康科学センターでの研究で、ダイエット飲料を1日2本飲んだ人は、飲んでない人に比べてウエストが約6倍だったというのです。
また、ダイエット飲料が好きな人はそうでない人に比べて、そうでない人は70%も早くウエストが大きくなるとのことです。
ブラジルのリオ・グランデ・ド・スル州立大学の研究グループは、マウスの実験で人工甘味料と砂糖をそれぞれ入れたヨーグルト(カロリーは一緒)を12週間食べさせた結果、人工甘味料入りのヨーグルトを食べたマウスの方が、砂糖入りのヨーグルトを食べたマウスよりも体重が増えるという結果になったそうです。
人工甘味料はインスリンに影響を与える?
人工甘味料は、インスリンの分泌をさせるため、肥満を招くと言われています。
※インスリンとは、血糖値が上昇した時に、血糖値を下げるためすい臓から分泌されるホルモン。脂肪を蓄える作用を持つため”肥満ホルモン”とも呼ばれています。
これは、ボストン大学医学部のバーバラ・コーキー博士らの研究によるものです。
しかし、この研究結果について一部のネットニュースでの誤解を招く表現があると否定されています。
糖質制限の第一人者・江部康二医師は、自身のブログでこの研究結果について解説し、人工甘味料はインスリンの分泌に直接影響を与えないと述べています。
参考記事 人工甘味料が、大量のインスリン分泌を促す?真相は?|ドクター江部の糖尿病徒然日記
人工甘味料はその後の血糖値を上昇させやすい?
ワシントン大学のヤニナ・ペピーノ博士らの研究では、人工甘味料(スクラロース)を摂取した後は、血糖値の上昇が高まると発表しています。
この実験では、肥満者17人に対して、2つのグループに分けて血糖値の推移を測定しました。
- グループ1:人工甘味料を含んだ水を飲む→数時間にブドウ糖を含んだ水を飲む
- グループ2:(1回目)ブドウ糖を含んだ水を飲む→数時間後にブドウ糖を含んだ水を飲む
その結果、人工甘味料を飲んだグループ1は、ブドウ糖を含んだ水のみを飲んだグループ2よりも血糖値が20%高く上昇したということです。
人工甘味料は満腹感を低下させる?
人工甘味料のひとつアスパルテームは、アミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンが主成分ですが、満腹感を促すホルモン『レプチン』に影響を与え、満腹感が鈍くなると言われています。
そのため、食べ過ぎや肥満につながると考えられています。
人工甘味料で食欲を刺激する
胃には、甘味を感知する機能があります。そして、胃が甘味を感知すると食欲増進ホルモン『グレリン』が分泌されます。胃の甘味を感知する機能は、砂糖だけでなく人工甘味料にも反応します。
そのため、人工甘味料を摂取することで食欲が増進し太る原因につながってしまいます。
味覚を鈍化させる
甘いの強いものを常に摂取していると、舌にある甘味感知機能である味蕾(/ミライ)が鈍化してしまいます。
その結果、更に甘いものを欲することにつながります。
人工甘味料の依存性
人工甘味料サッカリンには、コカイン以上の依存性があるということがわかっています。
これは、人工甘味料を摂取することで快楽ホルモンであるドーパミンが分泌されます。そしてドーパミンが枯渇すると、もっと欲しくなる欲求が生まれます。
人工甘味料を常に摂取しドーパミン分泌され続ける(過剰分泌)されると、依存性が高まり食べ過ぎてしまうということです。
2008年パデュー大学の研究では、人工甘味料を摂取したラットは、砂糖を摂取したラットよりも食べすぎで体重が増加したということです。
腸内フローラに影響を与える?
サッカリンは、腸内フローラ(腸内細菌叢/チョウナイサイキンソウ)を変化させる、またブドウ糖を処理する能力(耐糖能)に異常が起こる可能性がある、という報告があります。
これは、2014年に科学雑誌ネイチャーに発表された論文によるもので、人工甘味料を含んだ水、ブドウ糖を含んだ水、普通の水を飲ませたマウスを1週間後に血液検査した結果、人工甘味料を含む水を飲んだマウス全てに耐糖能異常が見られたという結果に。
また、健康な人7人に人工甘味料を5日間摂取してもらった結果、4人が耐糖能が低下した結果になっています。
更には、人工甘味料サッカリンを与えたマウスでは、肥満に関係する腸内細菌が増えたと述べています。
参考記事 Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota|nature
ただし、一部では「科学的根拠が乏しい」として批判もあります。
人工甘味料とダイエット・健康への影響
人工甘味料のダイエット効果や健康への影響については、様々な考えがあります。
中でもダイエットについては、人工甘味料で直接太る可能性は低いと言えるかもしれません。
しかし、継続的な過剰摂取は、依存性、食欲増進、腸内フローラへの影響など、間接的に太りやすい環境を作ってしまう可能性もあります。
そのため、砂糖だけでなく人工甘味料も過剰に摂取することに注意することが必要でしょう。
まとめ
いかがでしたか?人工甘味料は、カロリーがほとんど含まれていないため、甘いものが好きな人にとってはダイエット中に摂取する機会は多いと思います。
しかし、人工甘味料は間接的に太りやすい環境を作ってしまう可能性があります。そのため人工甘味料入りの食品に頼り過ぎないようにすることをオススメします。