健康志向の人や、ダイエット・美容目的で玄米を食べている人が多く見られます。
白米よりも玄米が良いと言われる理由は、栄養価が高いことが挙げられます。白米は、そのほとんどが糖質。それに対し玄米には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が多く含まれています。
そして、白米にはなく玄米に含まれている排毒作用を持つフィチン酸、抗酸化作用が期待できるγ(ガンマ)-オリザノールなどが含まれていることも、理由になります。
しかし、玄米は健康を害するという声もあります。それは、玄米の残留農薬、フィチン酸によるミネラル吸収を阻害、植物に含まれているアブシジン酸の毒性によるものです。
今回は、玄米が優れていると言われる栄養成分と、食べる際の注意点についてご紹介します。
玄米が健康・ダイエットに効果的と言われる理由
玄米は、白米に比べビタミン・ミネラル・食物繊維が多く含まれています。その理由は、製法が関係しています。
精白米は、稲の籾殻を除き、更に表皮と胚芽を除き残ったもの(胚乳)になります。対して、玄米は、稲の籾殻を除き、表皮と胚芽を残したままの状態です。
表皮や胚芽には、たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維の栄養が含まれている部分です。
また、抗酸化作用や排毒作用、コレステロール低下作用を持つ成分も含まれているため、表皮・胚芽を残した玄米は、栄養価が高く健康・ダイエットに良い食べ物と言われています。
玄米のカロリー・栄養と効果
玄米のカロリー・栄養成分表
栄養がバランス良く含まれている
玄米には、私たちが必要な栄養素の多くを含んだ食品です。そのため、「完全栄養食」と呼ばれています。
食物繊維で便秘改善・血糖値の上昇を抑制
玄米には、100gあたり1.4gの食物繊維が含まれています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」では1日の目標量が18g以上なので、玄米をお茶碗1杯(150g)食べることでおよそ10%をカバーすることができます。
玄米に含まれている食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維になっています。不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収し膨張します。そのため、便のカサを増やし排便を促すサポートに役立ちます。
また、食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
血糖値が急激に上昇すると「肥満ホルモン」と呼ばれるインスリンが大量に分泌されます。この影響で太りやすくなると考えられています。
食物繊維は血糖値の上昇が緩やかになるため、太りにくくなると言われています。
代謝に関わるミネラルがバランス良く含まれている
玄米には、ミネラルが多く含まれています。中でも、マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅・マンガンは推奨量の10%以上をカバーできます。
ミネラルは、骨・歯・皮膚などの新陳代謝に関わる必要な栄養素で、玄米を食べることで摂取できます。
エネルギー代謝に関わるビタミンB群が多い
ビタミンB群は、糖質・たんぱく質・脂質のエネルギー代謝に関わる栄養素です。
玄米にはビタミンB群がバランス良く含まれているため、エネルギー代謝を促進する働きが期待できます。
抗酸化作用のビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用が期待できる栄養素。玄米を食べることで推奨量のおよそ10%をカバーできます。
白米にはない玄米の特有成分
- フィチン酸(iP6)…抗酸化作用、排毒作用
- γ(ガンマ)-オリザノール…抗酸化作用、コレステロール低下作用
- アラビノキシラン…抗酸化作用
- GABA/ギャバ(γ-アミノ酪酸)…精神安定作用
- イノシトール…肝機能改善、高脂血症改善
- フェルラ酸…美肌効果・活性酸素消去作用
玄米には、白米に含まれていない成分もいくつかあります。
フィチン酸(iP6)、γ(ガンマ)-オリザノール、アラビノキシランがそれぞれ抗酸化作用があるため、女性には嬉しい成分が多く含まれていると言えます。
玄米と白米の違いは?カロリー・栄養成分を比較
玄米は、白米よりも栄養価が高いと言われていますが、実際どのような栄養成分がどのくらい多く含まれているのでしょうか?
玄米と白米の栄養価を比較してみます。
玄米と白米の栄養成分比較表
炊く前
炊いた場合
カロリーとたんぱく質は同等
玄米のカロリーは100gあたり165kcal、白米は168kcalとほぼ同等の数値になっています。
また、たんぱく質も玄米2.8g、白米2.5gなのでほとんど変わりません。
玄米のほうが糖質量は少ないが微量
玄米の糖質量は、34.2g、白米は36.8g。玄米のほうが少なくなっていますが、大きな差は見られません。
食物繊維の量は玄米が4倍
食物繊維は、白米は0.3gに対して、玄米は1.4gで4倍以上になっています。
食物繊維は、水溶性と不溶性に2種類ありますが、玄米・白米共に不溶性食物繊維が多く含まれています。
ミネラルは玄米に多く含まれている
ミネラルを比較すると、玄米は全体的に多く含まれています。中でも、カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・マンガンが多く含まれていることがわかります。
【白米と比較】
- カリウム:3.3倍
- カルシウム:2.3倍
- マグネシウム:7倍
- リン:3.8倍
- 鉄:6倍
- マンガン:3倍
玄米はビタミンB群が多い
白米と比較すると、玄米にはビタミンB群が多く含まれていることがわかります。
【白米と比較】
- ビタミンB1:8倍
- ビタミンB2:2倍
- ナイアシン:14倍
- ビタミンB6:10倍
この他にも、ビタミンE・葉酸・パントテン酸も玄米のほうが多く含まれています。
白米を玄米に変えるメリット
不足の栄養を補える
健康のため、またキレイ痩せのためには、栄養をしっかり摂取することが基本です。
しかし、糖質が多くその他の栄養が少ない白米を中心した食事。また、外食やコンビニなどで食事を済ますことが多い食生活では、十分に栄養を摂ることが難しくなっています。
玄米には、ビタミン・ミネラル。・食物繊維が多く含まれています。これらの栄養素は現代の食生活で不足していると言われているものです。
そのため、白米を玄米に変えるだけで不足しがちな栄養素を補うことができて、栄養バランスを整えることが可能になります。
腹持ちが良く間食を減らす
玄米は、白米に比べて腹持ちが良い食べ物と言われています。そして、間食を減らす効果も期待できると言います。
その理由のひとつは、食物繊維が多いためです。食物繊維は、消化のスピードを緩やかにします。
そして、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。血糖値の上昇スピードを数値化したGI値では、白米は77、玄米は55となっています。
血糖値が急激に上がるとインスリンが大量に分泌され血糖値を大きく下げてしまいます。すると、血糖値を上げるために、またすぐに食べたい欲求が湧いてきます。
「食べたばかりなのに、お腹が空いた」と感じるのは、血糖値が関係しています。
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咀嚼回数が増えて食べ過ぎ防止
よく噛んで食べることは、唾液の分泌を促し消化・吸収を良くする、食べ過ぎを防止するなどの効果が期待できます。
しかし、柔らかいものばかり食べると、自然と噛む回数も減ってしまい、早食い・食べ過ぎを招いてしまいます。
玄米は、よく噛んで食べる必要があるため、自然と咀嚼回数が増えて、早食い・食べ過ぎ防止になります。
ダイエット効果
太ってしまう原因は、栄養不足や食べ過ぎ、最近では血糖値も関係していると言われています。
玄米は、不足しがちな栄養を補える、咀嚼回数が増えて食べ過ぎの防止、血糖値の上昇を緩やかにするなど、ダイエットにも適した炭水化物と言えます。
玄米を食べる時の注意点
玄米だけでは栄養は足りない
白米と比較すると栄養価が高くなっています。また、必要な栄養素がバランス良く含まれているため、「完全栄養食」とも言われています。
しかし、1日に必要な栄養を十分に補えるほどでありません。
肉・魚・たまごなどのたんぱく質の多い食材や、野菜・きのこ類などで栄養を摂取しましょう。
玄米は消化が悪い
玄米は消化に時間がかかるため、腹持ちが良いというメリットがあります。しかし、逆に言うと、消化の負担が大きいとも言えます。
そのため、食べる時はよく噛んで食べるようにしましょう(一口50回以上)。また、胃が弱っている人は、食べるのは避けましょう。
玄米と残留農薬
玄米は栄養価が高く、健康やダイエットに良いと言われていますが、残留農薬が問題視されています。
白米は、籾殻や表皮・胚芽を取り除くため、栽培時の農薬の影響は受けにくいのですが、玄米の場合、表皮が残ったままのため残留農薬が残っている可能性があると言われています。
そのため、玄米を選ぶ場合は、無農薬栽培のものを選びましょう。さらには、残留農薬検査を受けたものを選ぶとより良いでしょう。
※玄米に含まれるフィチン酸の排毒作用によって、農薬は排出されるとも考えられています。
フィチン酸は栄養吸収を阻害する?
玄米に含まれているフィチン酸には、抗酸化作用や排毒作用が期待できる成分です。その一方、ミネラルの吸収を阻害し栄養不足になるという考えもあります。
フィチン酸は、玄米だけでなく、ゴマ・大豆・小麦にも含まれている成分です。また、ミネラルの吸収を阻害しないという研究結果はあります。
しかし、気になる人は、玄米中心の食事ではなく、肉・魚・豆・野菜といった様々な食材もバランス良く食べると良いでしょう。
また、玄米を一定の時間(12〜24時間程度)水に浸しておくことでもフィチンの量を減らすことが可能と言われてます。
アブシジン酸とミトコンドリアへの影響
玄米には、アブシジン酸という植物ホルモンが含まれています。アブシジン酸は、エネルギー代謝に関わるミトコンドリアに傷つけてしまうとして懸念れています。
ミトコンドリアが悪影響を受けると、冷え性や体内酵素の働きを低下させてしまう可能性があります。
玄米に含まれるアブシジン酸を無毒化させるために、水に浸しておき、熱を加えると良いと言われています。
まとめ
玄米は白米に比べ、ビタミン・ミネラル・食物繊維が多く含まれています。そのため、普段食べている白米を玄米に変えるだけで、栄養を摂取することが可能になります。
また、白米には含まれてない成分には、抗酸化作用やデトックス作用を持つ成分も含まれているので、美容やヘルシー志向向きの炭水化物と言えます。
ただし、ミネラルの収集を妨げると言われるアブシジン酸や、エネルギー代謝に関わるミトコンドリアに悪影響を与えるというアブシジン酸が含まれています。そのため、これらを抑える工夫が必要になります。
玄米を食べるときの参考にしてくださいね。